織処 丸重
髙澤 重雄
どんなことでもやってみて、 失敗しながら自分のものにするしかないね。
「うちの1番の強みはしがらみがないこと。
それだけに挑戦の連続だけどね」と丸重の創設者、髙澤さん。
40歳で創業するまで、同業他社で経験を積んだ。技術と営業を兼務し、
各産地を回る多忙な日々を過ごしたからこそ、
全国の同業者から頼りにされる存在となった。
丸重の技術力を象徴する商品のひとつが白生地だ。
上田紬のように織る前に染める先染めの場合、
小さなキズや汚れは目立たない。
だが、白生地は京友禅などの納品先で染めの作業が行われるため、
わずかなキズ、ムラ、汚れも許されない。その点、
「丸重の白はいい具合に染まる」と評価が高い。
その技術力を見込んだメーカーや問屋からのオーダーは絶えない。
糸の種類はアルパカ、カシミア、綿、麻など幅広く、織り方も様々。
結城紬や大島紬など、あらゆる産地で織りを体得したことが役立っている。
現在進行形の新商品にシルクのデニムがある。
小規模ながら有望視される岡山のデニムメーカーと連携して、
シルク100%の試作デニムは完成した。
洗濯機洗いにどの程度耐えられるか、膝はどのくらい出るか等々、
一昨年からメーカーの社長が試し履きの最中だという。
これもやはり、撚糸と織りの技術を認められて持ち込まれた話だ。
「うちではどうしても織れない」「こんなものはできないか」
と同業者に懇願されることも珍しくない。
「相手がその気ならいくらでも教えるよ」
と技術指導にも出掛けて行く。
ひと言では語れない経験と苦労を自身の糧にしてきたからこそ、
「やっぱり経験が1番大事」という言葉には重みがある。
「俺もいい年だし、そんなにチャレンジもできないけどさ」と豪快に笑いながら、
髙澤さんの挑戦はこれからも続くのだろう。
織処 丸重 紹介ビデオ
織処 丸重 の様子
織処 丸重 の特徴
1.「 白が1番難しい」と言う人は多い。今では白生地が織れる工房はほとんどない。丸重の白のほとんどは京友禅の染め屋に納品される
2. サイドに“耳”がつくシャトル織機の設備は日本有数。シャトルはすべて特注
3. 各種メーカーや問屋からデザインの指示を受け、あらゆる糸、様々な織り方のストール、スカーフ、 タオルなどを製品化する
4. 裏と表の模様が異なるリバーシブルのストール。細かく変化のあるこうした柄は組織が複雑にな るため難度が高い
5. 染めや織りだけでなく撚糸の技術にも明るく、良質な太い糸の試作が社内で可能なことから、シ ルク100%という斬新なデニムにも挑戦できた